「そして男は時計を捨てた・・・」にようこそ!

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歴史

波の伊八はその一瞬をとらえた!

千葉県いすみ市の東部は、太平洋に面しており、そしてその海はザブンザブンと力強く打ち寄せる・・・外洋の荒波、その荒波をじっと見つめる目がある・・・ そんな景色を見て自分の作品作りの糧にしたのであろう人・・・そう、波の伊八。

 

本名を武志伊八郎信由(たけしいはちろうのぶよし)といい、江戸時代中期に現在の千葉県鴨川市で生まれた宮彫師です。宮彫師とは寺社建築の装飾彫刻に携わる彫物師のことを指し、波を彫る名人との評判から「波の伊八」と呼ばれたのです。

 

この伊八を近年有名にしたのは葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」と伊八の彫刻「波に宝珠」の一部分。なにやら構図が似ているらしいからです。房総を旅した北斎が伊八の作品からインスピレーションを得たのではないかといわれています。

 

「波に宝珠」はいすみ市の行元寺に現存しています。行元寺は平安時代に慈覚大師によって開山された名刹で、「波に宝珠」は書院の欄間を飾っていました。彫られた大きな波は海面から見上げるように裏側を見せていて上面からも立体感があります。崩れ落ちようとする波頭の一瞬を切り取ったような動きのある表現と波の奥で漂う宝珠。

 

行元寺には伊八より100年前の宮彫師で幻の名工といわれる高松又八の彫刻もあります。本堂の欄間を飾り、赤や青、緑や金色などの色使いを駆使して「龍」「牡丹に錦鶏」が華麗に彩ります。

 

1797年に再建された同市にある飯縄寺は、からす天狗がいくつもあることから「天狗の寺」ともいわれています。飯縄寺の本堂には伊八の代表作「天狗と牛若丸」があります。内陣の欄間中央に掲げられている大作なのです。京都の鞍馬寺で天狗を相手に修行した牛若丸が題材になっています。

 

飯縄寺から歩けば海辺の太東埼があり、伊八はこの太東埼の海に馬で乗り込んで、寄せてくる横波を間近で観察したそうです。伊八の鋭い観察眼は見事に作品に投影され後年に残されたのです。

 

カメラもスマホも何もない時代、伊八は、自分の目だけを唯一の武器にして一瞬、一瞬を正確にとらえていたのです😊

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