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世界

チェルノブイリ原発事故から35年、被曝者の子たち

ベラルーシのミンスクにある甲状腺センターでは、1986年のチェルノブイリ原発事故で発生した放射性降下物に曝露して甲状腺に深刻なダメージを受けた患者の治療が行われています。

 

チェルノブイリ原子力発電所の事故から35年の年月が経ち、事故が人々の遺伝子に及ぼした影響を徹底的に調べた研究結果が、2021年4月22日付け学術誌「サイエンス」に発表されました。その2本の論文で明らかになった詳細は、私たちの不安を和らげるような内容になっていました。

 

1986年4月26日の朝、現在のウクライナ北部にあったチェルノブイリ原発の原子炉が爆発・炎上し、史上最悪の原子力事故が発生しました。

 

激しい火災で雲のようにわき上がった放射性物質が降下して周辺地域に住む人々の肺に入り、家や畑や牧草地に積もり、食べ物などに入り込んだのです。ある原子力技術者の言葉を借りれば、この地域の牛乳、サラミ、卵などは「放射性の副産物」と化したのです。

 

それ以来、研究者たちは、チェルノブイリ原発事故を経験した人々の健康状態をモニターしてきました。対象者は、近隣の町の住民から、事故現場の片付けや原子炉を覆うコンクリート製の巨大な「石棺」を建造する作業に従事した「リクビダートル(事故処理作業者)」までさまざまな人たちです。

 

原発事故をめぐっては、未来の世代にどのような影響を及ぼすのかという不安がつきまといます。今回発表された論文の1つは、チェルノブイリの事故で被曝した親から被曝後に生まれた子どもに、過剰な遺伝子変異が伝わった証拠は見つからなかったというものです。研究者たちは、今回の知見が、2011年の福島第一原発事故の被災者などにも役立つことを願っています。

 

「大きな影響を及ぼすような変異は、あるとしてもまれです。絶対に起こらないとは言えませんが、一般的な公衆衛生上の危機とは考えていません」と、両論文の上席著者である米国立がん研究所がん疫学・遺伝学部門長のスティーブン・チャノック氏は語っています。「今回の結果は、安心できるものだと思います」

 

「この論文は、そうした影響が生じる可能性を完全に排除するものではありませんが、リスクは現在考えられているよりもかなり低いことが明らかになりました」と語るのは、広島と長崎に拠点を置く日米共同研究機関である放射線影響研究所(放影研)のロバート・ウルリック副理事長だ。氏は今回の研究には関与していません。「この結果が確認されれば、現在のリスク推定を大幅に変更する必要があると思います」

 

同じく「サイエンス」に掲載されたもう1本の論文では、チェルノブイリの放射性降下物と、被曝した人々の数百例の甲状腺がんとの関係が調べられました。研究では、これらのがんが発生したメカニズムについて新たに詳細な情報が得られたが、放射線によって引き起こされたがんを、他の原因によって引き起こされたがんと区別できるような「バイオマーカー」はないこともわかったのです。

 

どちらの研究も、DNA技術の進歩によってがん研究がどれほど進歩したかを強調するもので、放射線が人間の健康にどのような影響を与えるかを研究する重要性を示しているといえます。

 

研究者たちは1945年の広島と長崎への原爆投下の生存者を数十年にわたって調査し、放射線と長期的な健康リスクとの関連性を調べてきました。

 

しかし、両原爆の被爆者が、非常に短い期間に大量の放射線を吸収したのに対して、チェルノブイリ原発事故の被害者は、それと比べて低線量の放射線をわずかに長い期間にわたって浴びました。このタイプの被曝については、今回ほど大規模かつ新しいDNA技術を用いた調査は十分に行われていません。

 

2014年から2018年にかけて、米国立がん研究所のメレディス・イェーガー氏が率いる研究チームは、チェルノブイリ原発事故後の1987~2002年に生まれた130人の子どもとその両親のゲノムの配列を決定しました。研究の対象となったのは、少なくとも片方の親が、チェルノブイリから70km以内にいたかリクビダートルとして事故処理作業に従事していた家族たちです。

 

イェーガー氏のチームは、過去のデータを利用して、それぞれの親が受けた放射線量も綿密に推定しました。例えば、父親たちの生殖腺が吸収した放射線量は平均365ミリグレイで、骨盤X線検査で受ける放射線量の約100倍に相当します。

 

放射線が子どもたちのDNAに影響を与えているかどうかを調べるため、研究チームは「新生突然(de novo)変異」を追跡しました。新生突然変異は、両親のDNAにはありませんが子どものDNAにはあるわずかな変異のことです。

 

この種の変異は、細胞分裂の際にDNAを複製する細胞機構が時折犯すミスが原因であり、自然に起こります。精子や卵子を作る細胞分裂も例外ではありません。私たちのゲノムには、両親のゲノムにはないランダムな変異が平均して50~100個あります。

 

原理的には、もし放射線の影響があるとするならば、被曝量の多い両親の子どもには、より多くの変異があるはずです。しかし、イェーガー氏らが家族のDNAを調べたところ、そのような関係は見られず、新生突然変異の数に影響を与える最大の要因は父親の年齢だったといいます。

 

今回の研究では、チェルノブイリ原発事故による放射線が甲状腺がんを引き起こしたメカニズムについても詳細に調べられています。

 

甲状腺は、のどの下部にある蝶の形をした内分泌腺で、代謝に重要な役割を果たしています。甲状腺がんは治療できる可能性が極めて高く、5年相対生存率は90%を超えています。チェルノブイリ原発事故後の最初の20年間は、放射性降下物に関連した甲状腺がんで亡くなる人は非常に少なかったのです。

 

過去の研究から、チェルノブイリ原発事故の放射性降下物に曝露した人、なかでも当時幼い子どもだった人たちの間で、甲状腺乳頭がんになるリスクが高いことがわかっていました。

 

これは、畑や牧草地に降り積もった放射性ヨウ素の一種であるヨウ素131を含む放射性降下物のせいです。汚染された牛乳や野菜を摂取すると、ヨウ素131は体内に吸収され、甲状腺に蓄積されていきます。このヨウ素131からの放射線が甲状腺細胞のDNAを傷つけたのです。

 

そして今、遺伝学技術の進歩によって、チェルノブイリのデータを使って「発がん物質ががんを引き起こすしくみの解明に着手できるようになりました」と、論文の筆頭著者である米国立がん研究所の疫学者リンゼイ・モートン氏は説明しています。

 

モートン氏らは、甲状腺がんと診断されたウクライナ人440人の組織検体を調べました。そのうちの359人がチェルノブイリ原発事故で被曝していました。また女性と、事故当時ウクライナの首都キエフに住んでいた人がいずれも過半数を占めました。年齢も若く、被曝時の年齢は平均7歳、がんと診断されたときの年齢は平均28歳だったのです。

 

この人たちの甲状腺が吸収した放射線量もよくわかっていました。対象者のうち53人については、1986年に研究者が直接、甲状腺の放射能レベルを測定していました。その他の人々については、チェルノブイリ原発事故当時に住んでいた場所や食べていたものについて聞き取り調査を行い、吸収した放射線量を推定しています。

 

これだけ大規模な分子レベルの病像を詳細な被曝データと結びつけた研究は、おそらく今回が初めてかもしれません。

 

研究チームは、データを調べていくうちに、放射線がDNAに影響を及ぼしたことを示す明確なしるしを見つけました。被曝線量が高いほど、甲状腺の細胞に「DNA二本鎖切断」と呼ばれる変異が起こりやすくなっていたのです。また、被曝した年齢が若いほど、その変化は顕著であることもわかりました。例えば、被曝線量が高い人ほど、腫瘍のDNAの一部が欠損している割合が高かったからです。

 

「遺伝子融合」が過剰に発生していることも確認されました。これは、DNA鎖が完全に切断され、細胞がこの損傷を修復しようとしたときに、間違った断片どうしを結合させてしまってできた変異です。このような変異は「自然に発生した」甲状腺がんでも起こる可能性はあるものの、通常はほとんどありません。

 

放射線がトランプの束を不正に切ったようなものかもしれません。しかし放射性降下物は、そこに自分自身の名刺を紛れ込ませはしなかったのです。モートン氏らはあらゆる角度から調査を行いましたが、がん細胞の遺伝子発現のしかたや化学的な特徴に、放射線に特有の「署名」を見つけることはできませんでした。

 

モートン氏とチャノック氏によれば、がんにそのような署名があるとすれば、がんの初期段階にのみにあるはずだといいます。がんを引き起こす鍵となる変異が起こると、以後その遺伝子は生化学的に支配権を握るわけです。つまり、波がちっぽけな砂の城を破壊するかのように、次々と放射線の署名を洗い流してしまうのです。

 

「それが腫瘍です。腫瘍は、以前に放射線を浴びたことなど気にしません」とチャノック氏は言います。「言わば、ただ進化しようとするだけです」

 

ウルリック氏は、今回の研究成果は、放射線ががんのリスクを高めるしくみに関する従来の学説を強く裏づけるものだと言っています。これは、放射線に関連したがんの特徴を初めて包括的に詳しく調べることができた研究なのかもしれません。

 

今回の研究は、放射線の一般的な健康リスクについて、科学者に情報を提供するものになるでしょう。特に2011年に起きた福島第一原発事故の被災者をはじめ、原発事故の影響を受けた人々の健康リスクに関して大きな判断材料となるはずです。

 

チャノック氏は、この結果が福島第一原発事故の被災者を安心させることを願っているのです。福島第一原発事故での放射性物質の放出量はチェルノブイリのおよそ10分の1であり、理論的には遺伝性の変異のリスクはさらに低いと考えられるからです。

 

しかし、今回の論文の著者らも、それ以外の専門家も、研究はこれで終わりではないと考えています。チェルノブイリ原発事故の放射線が健康に及ぼす影響は、今後も数十年にわたって追跡しなければならないものだからです。

 

若くして被曝した人々を成人後も追跡調査した研究は非常に少ないといいます。原爆の被爆者はそうした数少ない集団の1つであり、チェルノブイリの人々についても継続して追跡調査を行うことで、そのような集団になるでしょう。

 

フランス、リヨンにある国際がん研究機関(IARC)の疫学者エフゲニア・オストロウモワ氏は、チェルノブイリに関する研究は今後も資金を必要としていて、特に低線量被曝が健康に及ぼす影響を理解するためには、より多くの時間と努力が必要だと強調しています。

 

チェルノブイリ原発事故の健康への影響をしっかりと包括的に評価し、貴重な科学的情報を失わないようにするためには、関係者がバラバラに行動していては駄目なのであり、その努力をさらに結集していく必要があるのです・・・

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