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映画

映画の部屋#6 「ブックセラ-ズ」

この20年間で日本の書店は半減しました。書店調査会社のアルメディアによれば、2020年5月の全国の書店数は1万1024店。2000年が約2万1500店だったので、約1万店の書店が店を閉じたことになります。

 

要因としては、アマゾンに代表されるネット書店の台頭、また紙の本から電子書籍への移行などが挙げられますが、長年、書店でのブックハンティングを愉しみとしてきた方にとってはこの現実は寂しい限りではないでしょうか。

 

このリアル書店の閉店という現象は、どうやら日本だけのものではないようです。今回紹介する映画「ブックセラーズ」(D.W.ヤング監督)では、激減するニューヨークの書店の現状にも触れています。

 

この街で90年以上も店を構えている老舗のストランド書店の3代目は、「1950年代のニューヨークには書店が368店舗あった。いまではたった79店舗」と語ります。かつてグリニッジヴィレッジにあった「ブックロウ」と呼ばれた書店街も、1927年には48もの書店が軒を連ねていたが、現在はストランド書店1軒だけになっているといいます。

 

「路上」のジャック・ケルアックや詩人のアレン・ギンズバーグなど、1950年代のビート・ジェネレーションのものが中心で、コレクターの店として知られていたスカイライン書店の店主は、閉店を決意した理由を「いまはネットで本を買う。ひどい時代だよ」と嘆きます。

 

社会のデジタル化の波は本の世界を直撃していますが、このドキュメンタリー作品は、それを嘆き悲しむものではないのです。むしろ、いまもリアルな本を愛する多様な人たちをクローズアップして、その魅力を語り、来るべき未来を映し出して見せているのです。

 

映画「ブックセラーズ」は、古書では世界最大と言われる「ニューヨーク・ブックフェア」の場面から始まります。アッパーイーストにある南北戦争時代からの由緒ある建物の、かつては屋内テニスコートだったというスペースで開催されるブックフェア。カメラはそこに集うブックセラーたちを追っていきます。

 

16世紀のスペイン詩で博士号を得たが生活できず、古書ディーラーになったという男性は、「おかげで素晴らしい本を手にすることができた」とフェアの会場で語ります。彼がスペインからやって来た小説家を案内したときのエピソードが面白いのです。

 

ミゲル・デ・セルバンテスが存命中の1611年に出版された「ドン・キホーテ」の4版か5版を見せると、スペインの小説家は「泣いていた」といいます。しかし、彼が泣いた理由は、12万ドルという値段だったというオチもついています😊

 

この小説家は、イアン・フレミングの007シリーズの第1作「カジノ・ロワイヤル」の初版が13万ドルだったことにも泣いたといいます。案内した古書ディーラーも、それは「誰もが泣くさ」とすかさずツッコミを入れます👏

 

作中では、希少本蒐集の歴史などにも触れながら、20世紀を代表するブックセラーであるA.S.W.ローゼンバーグが、「若草物語」の著者であるルイーザ・メイ・オルコットが別名で書いたスリラー小説を発掘した話なども紹介されます。

 

他にも本を愛してやまないニューヨークのブックセラーたちの物語も多数紹介されています。

アルバイトを募集していた書店に足を踏み入れたことから、ブックセラーの道を歩むことになったデイブは、大型本への偏愛が尽きません。彼が紹介する「マンモス探検」という本には、1万年5000年前のマンモスの毛が標本としてついています。

 

ジュディス、ナオミ、アディナの三姉妹は、1925年に父親が開業したアーゴシー書店を受け継ぎ、それぞれがアイデアを出し合いながら店を運営しています。父親は娘たちに店を継げとは絶対に言わなかったというのです。それでも三姉妹が揃ってブックセラーとなっているのは、本に対する愛情ゆえであったに違いないのです。

 

若い世代のエリックとジェスは、靴屋だったスペースで書店を始めます。「いまはインディペンデントな書店がブームで、僕らもそうだ。書店は地元の街と結びつき、住民が主体で、その要求に応える。チェーン店とは方向性が逆だ」とエリックは語ります。彼のその言葉は、そのままデジタル時代における書店の方向性を示しているとも言ってもいいでしょう。

 

革製本の有名なディーラーであるビビは、高校を卒業して書店に就職したが、13年勤めて辞め、不用品売買を始めました。あるとき買い付けに行った家で、書棚に美しいバルザック全集が並んでいました。値段は全部で200ドル、「これは私が買う」とビビは叫んだといいます。その本との感動的な出合いが彼女をブックセラーへと導いたのでしょう。

 

登場するのは、ブックセラーだけではありません。「どうでも良くないどうでもいいこと」や「嫌いなものは嫌い」などの著作があり、書店を愛してやまない作家であるフラン・レボウィッツは、ブックセラーを評して次のように語っています。

「昔はミッドタウンにいて1時間でも暇があれば、書店に行った。でも、私が『書店』と呼ぶのは個人経営の店だけ。その書店で働く人がブックセラーであり、彼らはウィンドウに並べる本を自分で選ぶ。(大型書店チェーンの)バーンズ・アンド・ノーブルとは違う」

 

もちろん、「ブックセラーズ」では、リアルな本が置かれている書店の厳しい現況についても鋭い分析を加えています。ウラジミール・ナボコフやガルシア・マルケスなどの資料や手稿を収蔵するアーカイヴィストとして知られるグレン・ホロウィッツはこう発言します。

「本は550年も流通してきた。しかし、今は本への興味が薄れ、ここ最近の10年は文化の中心としての本の終わりの始まりだ。その理由は、ネットが人々の集中力を遮断していて、読書という活動が廃れてきている。人々が本を読まなくなった。それが本の売買を劇的に低迷させている」

 

「ブックセラーズ」で取り上げられている本は古書や希少本が多いのですが、それらに関わる人々はいずれも自分たちが扱う本の行く末を案じています。作品を監督したD.W.ヤングも、今回のコロナ禍にも絡め、作品を送り出した理由を次のように述べています。

「私は芸術や多くの知的で文化的な施設の今後について本当に心配しています。特に映画館や書店はいまの時期をいかにして乗り切るかが大切。もちろん、それらをサポートすることにも価値はあるが、私はリアルな本の重要性と書店を見てまわることで発見する楽しさもこの作品に盛り込みました」

 

確かにヤング監督の言うように、この「ブックセラーズ」という作品を観ていると、本を渉猟したり、蒐集したり、読書したりする喜びにも溢れています。しかもリアルな本に対するリスペクトも作中には満ち満ちています。ヤング監督は言います。

「この作品は、本そのものがどのように耐え抜き、所有者たちよりも長生きするかについて語る叙事詩です。私は観客のみなさんに本の世界に没入してもらい、私たちが一緒に過ごしたブックセラーたちとの素晴らしい時間を感じて欲しかったのです」

 

「ブックセラーズ」を観ていると、いくら世界が進化してデジタル化の波が押し寄せようとも、リアルな本がなくなることはないと信じたくなります。また、書店も、これまでとは異なった形ではあるが、この先も存在し続けていくであろうと期待させてくれます。

 

そして、この20年間で書店の数が半減した日本でも、例えば日本版「ブックセラーズ」などというドキュメンタリー作品を、誰かが監督して撮ってくれはしないかと、願ってしまうのです・・・📚

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