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音楽

ニルヴァーナの名曲「Smells Like Teen Spirit」はどうやってできたのか?

ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit(スメルズ・ライク・ティーン・スピリット)」にまつわる物語は様々な矛盾に満ちています。そもそもこの曲が生まれたことと大ヒットしたことが、作者であるカート・コヴェインを悩ませた煮えたぎるような二重性の存在を証明しているのです。

 

1991年初頭、ニルヴァーナのメンバーがセカンド・アルバム『Nevermind(ネヴァーマインド)』に取りかかる準備をしていた頃、ギタリストでシンガーのカートはこの曲に繰り返し登場するリフを作っていました。そしてその癖になるような感じが、新作に使おうとしていた題材にピッタリだということにすぐに気が付いたのです。

 

自分たちの1989年のデビューアルバム『Bleach』の全体を支配していた抑圧されたようなドロドロとしたサウンドに嫌気がさしていたカートは、次作では、デビュー作で表現できなかった要素をより表に出し、楽曲にはより強くてはっきりとしたメロディを感じられるようにしたいと思っていました。

 

70年代西海岸で活躍したワイパーズの妥協しないパンクロックや、80年代ニューヨークのノイズ・ロック・バンド、スワンズの根源的なパワーを強く支持すると同時に、カートはビートルズの熱心なファンでもあり、彼は常に自分の作品を支配する暗さとエッジさを対比させようとしていたのです。このアルバムのために招かれたプロデューサーのブッチ・ヴィグはこのように語っています。

 

「カートにはパンクの怒りと疎外感の両方を持つ二律背反的なところがあった。傷付きやすさを感じさせるポップ・センスを持っていた・・・」

 

後にカート自身はこう告白しています。

 

「多分、ブラック・フラッグとブラック・サバスに蹂躙されてるザ・ナックとベイ・シティ・ローラーズみたいなのが僕らのサウンドだね!」

 

この曲を書くに当たってのカートの構想はどんな冷笑的なパンク・バンドの罵倒よりも野心的でした。というのも彼は「究極のポップ・ソング」を書きたかったのです。彼はこの曲を書きながら、彼に影響を与えたもう一つのバンド、ピクシーズがよく使った手法を使おうと考えていました。それは「Aメロでは穏やかで静かに行きながら、サビでは大音量でハードに行く」というやり方です。カートは「あのバンドには無茶苦茶共感してたんだ!」と認めています。

 

彼がこの曲をリハーサルでバンドメンバーに披露したところ、ベーシストのクリス・ノヴォゼリックから「下らねえ!」と一蹴されてしまいました。クリスは60年代のロークンロールの楽曲「Louie Louie」の盗作のようなリフを延々1時間以上も弾かされるのにガックリきていたのです。最終的にクリスの提案で、曲のペースをぐっと落とすことにしたところ、少し前に脱退したチャド・チャニングの後任として加入したばかりのドラマーのデイヴ・グロールが、ファンク・ドラマーのトニー・トンプソンのプレイにヒントを得た、ちょっとした“ディスコっぽいフラム(主音の直前に装飾音を入れる奏法)”を加えることができました。こうしたプロセスによって、この曲は『Nevermind』収録曲の中で唯一、バンドメンバー3人全員が作者としてクレジットされる曲となったのです。

 

そして、その演奏は雑な感じでカセットテープに録音され、アルバム候補への追加曲としてプロデューサーのブッチ・ヴィグのところへ送られました。彼は後にこう回想しています。

 

「録音されてた音がひどく歪んでたんで、聴いてもほとんどよく判らなかったんだ。でもよく聴くとそのファズ音の下に『ハロー、ハロー』っていうメロディとコードの構造が聞こえてきた。録音は最低だったけど、無茶苦茶興奮したね!」

 

その時の歌詞はまだほとんど完成しておらず、バンドがプロデューサーのスタジオに入って初めて完成される予定でした。1991年5月、彼らはカリフォルニアのヴァン・ナイズにあるサウンド・シティ・スタジオに入りました。

 

当時、彼らがシアトルに本社を置くインディ・レーベルのサブ・ポップを離れて契約したばかりのメジャー・レーベル、ゲフィン・レコードは、彼らの選んだプロデューサーに反対していましたが、バンドは自分たちの選択を変えませんでした。カートはここでも野心的な判断の先頭に立っていたのです。

 

完成した歌詞の中で、カートは自らの中で相反する考えに折り合いを付けようと混乱している様子を浮き彫りにしていたり(「I’m worst at what I do best/自分が得意なことなのに最悪な結果にしてしまう」)、怒りを覚えながらも(「I feel stupid and contagious/自分がバカみたいに思えてそれがどんどん広がっていく」)、自分の欠点についてはやむなく認めています(「Oh well, whatever, never mind/ああもういいよ、どうでもいい」)。

 

また歌詞の中には不可解で有名な、リリース以来よく違う歌詞に聞き違えられてきたものも含まれていました(「A mulatto, an albino, A mosquito, my libido/ムラート(白人と黒人の混血)にアルビノ/蚊に俺のリビドー(性的衝動)」)。

 

カートの言葉は怒りに煮えたぎっていました。その言葉は自分自身と、彼の目には凡庸で人工的だとしか見えない彼のまわりの世界に向けられていたのです。クリスは後にこう語っています。

 

「最初歌詞を読んだ時はさっぱり理解できなかった。その後それを歌として聴いたら、何を言おうとしてるのかが判ってきたんだ。カートは子供達のこと、コマーシャルのこと、ジェネレーションXのこと、若い連中の時流への迎合なんかについて心底失望してて、そういったこととは一切関わりたくないって言ってたんだ」

 

この曲をわずか3テイクだけレコーディングした後、2テイク目がマスターに選ばれ、それに2トラック分のギターと何重にも重ねたヴォーカルが加えられて分厚いサウンドに仕上げられました。これをやるには、ジョン・レノンも同じことをやっていたということで、ブッチ・ヴィグがカートを説得しなければいけなかったのですが、それによりサウンドは何者にも負けないほどに力強くなったのです👍。

 

一方で、この曲のタイトルには、それ自体逆説的な意味合いが含まれています。歌詞の中には登場しませんが、このフレーズの由来は、ワシントン州オリンピアにあったカートのアパートでのパーティの際、彼の友人のキャスリーン・ハンナがアパートの壁に書いた「カートってティーン・スピリット(女性向けデオドラントの商品名)みたいな香りがする・・・」という有名なフレーズに遡ります。

 

これは、ハンナと彼女がリーダーだったビキニ・キルのバンド仲間のトービ・ヴェイル(カートの元彼女)がその日スーパーで見かけたデオドラントを冗談めかして引き合いに出したものだったのです。ハンナはその時こう言っていました。

 

「だいたい、誰がデオドラントに“ティーン・スピリット”、なんて名前付けんの?ティーン・スピリットの香りってどんな?ロッカー・ルームの匂い?マリファナと汗が混じった匂い?それともパーティで自分の髪の毛にゲロしちゃった時の臭い?」

 

遊び心満点でイジられていましたが、その名前の由来を知らなかったカートは、壁の落書きを別の意味に解釈したのです。「ほめ言葉だと思ったんだよ・・・」と彼は、疎外感に苛まれる者たちへの賛歌を盛り上げる反抗的なエネルギーを呼び起こすために、このフレーズを一年後に曲のタイトルに選んだと語っています。カートは後に「Smells Like Teen Spirit」についてこうも語っています。

 

「革命っぽいテーマなんだけど、戦争を始めろっていう意味ではない。若い世代の無関心さは手に負えないレベルになってきてる。みんなに必死に呼びかけてるんだよ、『みんな目を覚ませ!』って」

 

ニルヴァーナのレーベルのお偉方は、この曲の持つ主張の叫びを全く認識していなかったので、この曲が1991年8月にカレッジ・ラジオ局に提供されるまでは、これをシングルとしてリリースするためのプロモーションはされていませんでしたが、彼らの認識はすぐに覆されることになります。「Smell Like Teen Spirit」はラジオ局のヘビィ・ローテーションになり、事はどんどん大きくなっていったのです。

 

デイヴ・グロールはこう語っています。

 

「“Teen Spirit”は間違いなく、僕らがその後によく使った曲の中で静かさとラウドさを対比するというパターンを決定づけた。ある意味ニルヴァーナというバンドを人格化した一曲になった。でも、あの曲がヒットした重要な要素は多分ビデオだったと思う・・・」

 

この曲のミュージック・ビデオに出演する18〜25歳のエキストラ募集広告が出された後(応募者には「プレッピーでもパンクでもオタクでも体育会系でもいいので、高校生っぽさ」が求められました)、ニルヴァーナのメンバーは、ロサンゼルスのカルヴァー・シティにある、GMTスタジオに設置された高校の体育館を模したセットでビデオの撮影を行いました。

 

サミュエル・ベイヤーが監督したこのビデオで、バンドが物に憑かれたかのような清掃員と過激なチアリーダーに対して演奏する中、退屈した生徒達は最初野外の観覧席に静かに座っています。そして彼らは段々動き出して、立って踊り出し始め、最終的にはステージに殺到して、カートが自分のギターを叩き壊す一方で、バンドの機材をぶち壊し始めます。

 

デイヴ・グロールはこのビデオについてこう語ります。

 

「みんな、この曲をラジオで聴いて『すげえ!』と思った。でも、MTVでビデオを観た子たちは『これヤバい。こいつら何かダサいけど、クソみたいな高校をぶっ飛ばしてるよ!』って思ったんだ。それがこの曲があんなにデカくなった大きな理由だったと思うよ」

 

それは、天にも駆け上るような勢いでした。「Smells Like Teen Spirit」は英米でトップ10ヒットとなり、アルバム『Nevermind』は全米および世界でナンバー・ワンとなりました。ビデオはMTV Video Music Awardにて最優秀新人賞と最優秀オルタナティヴグループ賞をバンドにもたらし、評論家はほぼ全員一致で賞賛したのです。

 

1991年初頭には、これほどまでの成功が待っているとは誰も想像できなかったのです。この曲が伝説的なレベルにまで押し上げられ、単なる売り上げを超越した時代の象徴となり、メインストリームを隅々まで制覇しきっていたので、チャートの順位などはもはや関係なくなっていたほどでした。

 

カートは「Smells Like Teen Spirit」に込めたヴィジョンを現実とすることに成功したのです。彼は公民権を奪われた若者達のための革命的アンセムを書こうとしていましたが、そうした若者達から自分も持ち合わせていない問題への答を求められるほどになったのです。

 

しかし、この曲への人気とは裏腹に、カートのこの曲に対する熱意は冷めていきました。バンドのライヴでもこの曲はセットリストから外されるようになっていきました。カートは1994年にこう語っています。

 

「あの曲を演奏するのはほとんど恥ずかしいんだ・・・誰もがあの曲に異様に興味を向けていた。あの曲が大きな反響を呼んだのは、みんながあのビデオをMTVで何百万回も観たから、脳内にすり込まれたんだよ。でも、あれ以上とは言わないまでも、僕が書いた曲であれと同じくらい良い曲はたくさんあると思うんだ。でも、特に今夜みたいにひどい夜は、“Teen Spirit”を越えることはできないよ。本当にギターを投げ捨てて立ち去りたくなる。あの曲をプレイしながら楽しんでるフリなんてできないよ。あれがメインストリームになった瞬間に終わったんだ・・・」

 

リリースされてから何十年も経っていますが、「Smells Like Teen Spirit」はあいかわらず強力なのです。「史上最高の曲」リストが作られる時は、必ず候補に挙がってくるほどです。2021年の夏には、Spotifyでの再生回数が10億回を突破し、これまでにマーヴェルの映画『ブラック・ウィドウ』でのマリアJからポスト・マローンに至るまで数多くのアーティスト達にカバーされ、ウィアード・アル・ヤンコビックにまでパロディされています。

 

つまり、この曲は、カート・コヴェインが全く耐えることができないくらいの絶大な名声をニルヴァーナに与えた恵みでもあり不幸の種でもあったのです。

 

「あの曲に多くの人が強く惹かれた理由と、ニルヴァーナが人気バンドになった理由については、僕独自の考えがあるんだけど・・・でも僕の考えは実際の音楽評論家の意見よりはもう少し歪んでるかもね」とデイヴ・グロールは2021年になって思い返して言っています。

 

「Smells Like Teen Spirit」は、時代の精神を体現していました。そして、「Smells Like Teen Spirit」で誰もがニルヴァーナのことを知りました。そういうレコードはなかなか出てきはしないのです・・・

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