「そして男は時計を捨てた・・・」にようこそ!

 

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「そして男は時計を捨てた・・・」を今後も末長くご愛読ください😉 by ひとり編集長




書籍

くそったれな資本主義がなくなったなら・・・「もう一つの世界」

これはアメリカの話・・・

 

ある日ふと、「YouTuberになりたい!」と思ったけれど、やり方がわからない・・・😢公式サイトを見てみれば「Creator Academy」という作成ガイドが出てくる。なぜか「ユーチューバー・アカデミー」ではない・・・

 

YouTubeは2011年頃から有力な動画製作者に対して「クリエイター」という言葉を使い始めました。「加工しまくりのキラキラ生活を発信するインフルエンサーとは違うんだ!」というわけなのかな?音楽、ダンス、映像、料理、文章、なんでもいいんだ!誰もが自分の作ったものを自由に発信する「クリエイター」という呼称はYouTubeの枠を超え、今やずいぶん定着しています。

 

オンラインの発信はこれまで広告ベースで収益を得てきましたが、クリエイターのコンテンツ自体を収益化するプラットフォームがYouTube以外にも登場し、「クリエイターエコノミー」が広がりつつあるのです。そして、新型コロナウイルス蔓延によるライフスタイルの変化でますます増加傾向なのです。

 

これは日本の話・・・

 

日本でも2021年8月「クリエイターエコノミー協会」が発足し、BASE、note、UUUMなど37社が参加しています。「好き」を発信して収入も得たいんだ!ずっとやりたかったことを形にして、多くの人に支持されれば最高じゃないか?そう願う人はもう国を超えて多いのです。

 

しかし、ここで問題が発生するのです。それは「時間」です。1日は24時間しかないのです。7時間眠って8時間仕事をしたら残るは9時間・・・この9時間で移動、家事、食事、人によってはデートや育児や介護・・・どうすれば創作の時間は作れるのか?

 

「あーあ、好きなことだけで食べていけたらいいのに・・・」そう考えた時、二つの選択肢が浮かびます。

 

1. 仕事を辞めて、好きなことだけで食べていけるようにする

2. どうにか時間のやりくりをする

 

1は不可能ではないものの、相当の難易度であることが想像できます。そこで皆は、2に悩むことになるのです。これはオンラインで発信する人に限った悩みではありません。

 

SF小説『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』は2008年を境に分岐する「もう一つの世界」を描いた小説です。作家バルファキスは1でも2でもないオルタナティブな仕組みを小説のなかで描いています。「もう一つの世界」では全市民は生まれた瞬間、中央銀行に「パーキャプ口座」をもちます。主人公コスタの分身であり、もう一つの世界に住むコスティはこう説明します。

 

「コスティによれば、そのために活躍するのがパーキャプの「配当」だ。中央銀行は毎月、市民の年齢に応じて一定額を「配当」口座に振り込む。その主な原資は企業から国への支払いだ。実のところ、国はあらゆる企業が納める総収入の5パーセントで、全市民に対する社会給付を賄っている。「相続」が赤ん坊の誕生とともにまとめて振り込まれるいっぽう、「配当」は誕生から毎月振り込まれて、赤ん坊が子どもになり、やがて10代を経て成人するまで市民を貧困から守ってくれる・・・」

 

つまり、「食べていくためのお金」は国から自動的に振り込まれるというわけです。生計を立てる心配がないとしたら、生活のための仕事はしなくていいのです。

 

「好き」を発信する際も、収益化のために無理をしなくてもいいのです。登録者数を増やそうと、自分らしさを手放して迷走せずにすむのです。稼ぐ必要がなければ、「好きなこと=稼げること」でなくてもいいのだから・・・「価値のあること=稼げること」という価値観も、この配当によって消滅します。

 

「事業活動に関心はないが社会に貴重な貢献をもたらす者に、「配当」は充分な収入を保証する。なかにはその価値を市場が正しく評価できないような、たとえば介護部門や環境保全、非商業的な芸術といった活動も含まれる。」

 

怠惰な生活を送る権利のためにも・・・若者はいろいろな職種を試すことができ、シュメール時代の陶芸から天体物理学まで、「それじゃ食べていけない」といわれる知識を学ぶこともできる世界。

 

もちろん、「天体物理学よりも金儲けがしたい、贅沢がしたい」という価値観も否定されることはありません。

 

パーキャブ口座には「相続」もあります。赤ん坊が生まれた瞬間に信託資金として全員にまとまった額が振り込まれるのですから、「もう一つの世界」に親ガチャは存在しません。生まれながらにタネ銭があるのですから、若くして起業することも可能となるのです。

 

「赤ん坊はみな裸で生まれてくる。だが、すぐに高価なおくるみに包まれ、特権的な人生が用意された者もいる。ところが、ほとんどの者は襤褸をまとい、奇跡でも起こさない限り、疲弊、搾取、隷属、不安の人生からは逃れられない。それが「ゆりかごから墓場まで」続く、コスタの世界を定義する不平等だ。」

 

しかし、コスティの世界では、この世に生まれ出た瞬間に、国が赤ん坊のためにパーキャプ口座を開設します。そして、3つのうちの「相続」にまとまった資金を振り込み、全員が同じ額を受け取ります。赤ん坊はやはり裸で生まれてきますが、誕生とともにかなりの額を社会から支給されるのです。

 

こうして、成年に達して企業に入るか、ひとりで、あるいは仲間と起業する時には、どの若者もすでに資本を蓄えていることになるのです。その資本を浪費してしまわないよう、パーキャプのなかで「相続」は最も流動性が低く、65歳未満の者が利用する際には、面倒な手続きや厳しい審査をくぐり抜けなければならないのです。

 

日本政策金融公庫の調査によれば、2020年の日本の開業平均年齢は43.7歳。1991年の調査開始から最高年齢を記録しています。高齢化社会の影響は明らかですが、「若者が起業しやすい社会」とは言えないことも確かでしょう。

 

日本の起業が少ないのは、「失敗が許されない社会だから」といわれます。ベンチャー起業の5年生存率はわずか15%です。「好きなことだけで食べていく」のと同様、とても険しい道であることは間違いありません。しかし、バルファキスが描く「もう一つの世界」では、全員のパーキャプ口座に毎月一定額が「配当」として振り込まれるため、失敗しても致命傷を負うことはないのです。

 

「「配当」の特長のなかでもコスティが特に高く評価していたのは、貧困世帯を永続的に貧困に閉じ込めておくセーフティネットから、彼らを解放することだ。貧困者を搦め捕る「安全網」のかわりに、「配当」は堅固なプラットフォームとして機能する。貧しい者や恵まれない者も2本の足で立って、よりよい生活が始められる。」

 

「「配当」のおかげで、市民は貧困に陥る不安が取り除かれるだけでなく、生活保護を受ける際の屈辱もなければ、容赦ない審査や手続きもない。」

 

「もう一つの世界」において、「配当」は全員に与えられた当然の権利です。それは「好きなこと」や起業へのチャレンジを可能にするだけではありません。生きていく基盤、老後への不安を消す拠り所となるのです。

 

ちなみに厚生労働省によれば、2020年の生活保護受給率は1.6%。そのうち55%が高齢者世帯です。

 

この小説は英国と米国を舞台に描かれた作品ゆえに、日本とは事情が違う点もあります。さらに「S F経済小説」であり、経済学者であり政治家であるバルファキスの直接的な提言ではありません。だからこそ、「このシステムが最良である」と訴えているのではなく、この思考実験をきっかけに、若い読者に「自分のこととして考えよ」と促しているとも読めるのです。

 

自分の価値を「お金で計らなくていい世界」は、どうすれば実現できるのでしょうか?そして、好きなことができる「自由な世界」とは、どんなものでしょうか?

 

思い巡らせてみてください・・・。ギリシャ生まれのバルファキスは、小説のなかで同郷の作家カザンザキスの言葉を引用しています。

 

「なにも望まぬ。なにも恐れぬ。我は自由なり・・・」


クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界

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